田代秀敏

暮れは高成長、初夏は低成長というふうに極端なブレが出てくるため、1年を通して均等にならす。これが「季節調整」である。ちなみに、この季節調整を入れないと、今年4〜6月の「実質GDP」は年率で実にマイナス9・9%。そんなに低かったのかと驚くかも知れないが、これも日本経済の実力を示すGDPのひとつなのだ。 ところが、先にあげた「4%」成長には、首を捻らざるを得ない数字が紛れ込んでいる。今年4〜6月は、13兆5378億円もの「季節調整」が“大盛り”になっているのだ。 こんなに「季節調整」を盛ってしまえば、たいていの不景気は「好景気」に化けてしまう。経済社会総合研究所は、いったいどこからこんな数字を弾き出してきたのだろうか。 だが、やっぱりというべきか、しばらく経ってから「化けの皮」が剥がれてきた。 速報値から、ひと月も経たない9月8日、内閣府はGDPを4・0%から2・5%(改定値)へ大幅に引き下げたのだ。実に4割もの下方修正である。 ** 「しょせん、上が見たい統計を作るのが、下の仕事ですから……」 最近、日本でGDPが発表されるたび、中国の統計部門の役人が、そうつぶやいていたことを、つい思い出してしまうのだ。